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恩師のこと

大学時代の恩師がお亡くなりになっていたことを、友人が教えてくれた。
今から10年もたつのに、先生の授業の様子も
冬になったらいつも着ていらしたバーバリーのコートも
ゼミ室で吸っておられたタバコの銘柄も
たちまち思い出されてくる。
不思議だな。

フランス語の知識も縁もゆかりもまったくない私が
まったく偶然に選んだ「フランス文学」という道で
ぽっとひとつの灯りをともしてくれたのが先生だった。
徹底的に理知的な文法の講義のおかげで
「フランス語の表現って繊細。
 つまりフランス人って、もしかして繊細では?これならわかり合えるのでは?」
という気持ちになったものだ。
(そしてフランス人と結婚した今では、それが幻想的だったとも知る)

今でも簡単な書物を原文で読むときには
先生から教わった文法のアプローチが生きている。
先生は亡くなられたのに、教わったことは(覚えている限り)私の中で
今でもかわらずに光輝きながら生き続けている。
それはあたかも針葉樹の倒木のあとに
あらたな木がはえるのに似ている。
木は倒れて死んだのではなく、新しい木の命となり養分となり
かすかながらいつもいつまでも支え続けているのだ。

もしも私が何かを人に伝えられるなら
自分の死後も
いつまでも人の心に残り輝き続けるものを、と
あらためて思った秋のいちにち。

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