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旧中筋家住宅

和歌山市禰宜にある「旧中筋家住宅」を見学してきました。
こちらは母屋が1852年に建てられた大庄屋の屋敷です。
戦後所有者がかわり、維持管理されてきたのですが
現在は和歌山市が管理団体となって2000年から約10年にわたって
修復をし、昨年の8月から公開された国指定の重要文化財です。
屋敷の北側には御成門があり、紀州藩の家老がおとずれたことがあるとか。
母屋は土間、台所、大広間、座敷部などなどがあり
二階部分は物置きに、三階部分は客人用の部屋と
周囲を見渡せるように望楼が設けられています。

これまでお邪魔したどんな重要文化財の家よりも広かった!
そして使用している木材の、なんと立派なこと。
木材という木材に、どこにも「ふし」が見当たらない〜!
そして柱には栂(つが、とが)という木を多用してるのですが
栂は、よく「暴れる」木。
(うちのリビングテーブルも栂ですが、かなり隙間がでてきた)
それなのに建築材に用いるとは
それだけ大工の技量がいるということでしょう?
さらに驚くベきはなるべく元の姿を忠実に再現すべく
襖ももとあった図柄を復刻し
掛け軸もオリジナルのものをわざわざ復刻。(オリジナルは美術館にあるそう)
雨がかかって傷んだ床部分は、傷んだところだけをうまく切り取り
まるで目立たないように注意をはらって再生。
瓦も古いものをなるべくいかすため下ろして、洗って約半分を新調。
基礎部分もジャッキアップして腐ったところを入れ替えたり…などなど
その総工費は9億円にものぼったそうです。

でももっと驚くのは、これを復刻する前の写真をみせてもらったとき。
座敷はことごとく傷んでいたし
屋根も一部は崩れかけて、もはや水平も保っていない。
これだけ傷んでいれば、たいていならきっと諦めていたところを
市と国の力をかりて、ここまで立派に修復できたところが素晴らしい。
建設当時の大工の腕と、施主の趣向と、修復に携わった現代の大工さんたちの
みなさんの力が合わさった、本当に素晴らしい文化財だと思う。

お近くにお立ち寄りの際は是非…!

旧中筋家住宅:和歌山市祢宜148
電話:073-465-3040
公開日時:3月から11月までの土、日、祝。
9時〜16時30分まで(入場16時まで)
    5人以上の団体は1ヶ月前までに申請すれば公開してもらえる。
観覧料:一般300円




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コメント 1

みちお

国産の栂は良い材だと思いますよ
昔から栂が使えたら職人として一人前と言われています
僕の工務店でも栂や栂さわらなどを使います
たしかに暴れる木ですが
逆に癖がはっきりしてるので
慣れたら使い良い、丈夫な木ですよ
by みちお (2011-07-08 21:33) 

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